お地蔵さん修復記(その一)


令和3年3月18日 13:00

撥遣法要(はっけんほうよう)/弘済寺地蔵堂

 

当山の総代さん・三乗堂さん・県立歴史博物館の学芸員さん参列のもと、撥遣法要を厳修。撥遣とは、魂抜き(お性根抜き)の法要です。お地蔵さんの魂は、修復の間しばらくは御寶牘(ごほうとく:お札)にお移りになりました。

 

 

 地蔵堂での法要と同時進行で執り行った護摩堂での護摩供には、倉敷から天野僧正が駆けつけてくれました。ご縁に感謝、有難いことです。

弘済寺地蔵菩薩坐像修復撥遣法要表白文

 

 謹み敬って真言教主大日如来、両部界会諸尊聖衆、殊には当山地蔵堂に鎮座する六道能化の大菩薩、地蔵薩埵、仏法擁護の諸大善神、総じては尽空法界一切三宝の境界に白して言さく。

夫れ、当山境内には古の檀越、この浄域の一隅を選んで地蔵尊の仏体を造立し、往昔の学徳兼備の阿闍梨、之を開眼し奉ってより以来、この処に足を運ぶの善男・善女、童子・童女等、参詣の砌には、必ず閼伽・香・華等を献じて、至心恭敬礼拝の誠をいたして今日に及ぶ。以んみれば、地蔵菩薩と者、六道四生一切含識の能化、しかのみならず、仏像造立の功徳たるや、広大無辺にして、遥かに凡慮を絶す。利益、豈に唐捐ならんや。仰ぎ願わくは、本日撥遣の地蔵菩薩、五智四身の妙相円かんじて、三界に抜苦与楽の恵光を放ち、この処に足を運びて至心合掌の誠を凝らす諸人には心身安楽にして除災招福、家内安全にして家門繁栄、罪障消滅、福寿円満ならしめん。

 然りと雖も、七百有余年の歳月は自然に尊体を損傷し、為めに形体傾き厥の円相を失い、既に信教の益を闕がんとす。又毀傍の損を招かんか。

 ここを以って篤信の檀越等、浄財をなげうって、地蔵薩埵の尊体調査並びに修復の手を加え、次の時代に継承せしめんと欲す。依って今、宿曜相応、本日の吉辰を卜して香華・灯明等、六種の供具を調え、関係者諸賢列座の下、撥遣供養の法筵を布き奉る。

 しかれば即ち、当所鎮座の地蔵薩埵、法主並びに施主等が丹誠を哀愍納察して、しばらく法性の御寶牘に還着すと雖も、煕怡微笑して愈々仏果を増進し七福を万歳に招き、七難を千里に払わしめんことを。聞くならく、蜀江の錦は洗うに随って色を増すと。伏して乞う、重ねて加被を垂れ、天下泰平、五穀成就、疫病退散、興隆仏法、再び利益を施し賜らんことを。ときに令和三年三月十八日 法雨山弘済寺 真永 敬って白す。

 14:00~ 事前調査/弘済寺地蔵堂

 

三乗堂の皆さん・県の学芸員さんによる解体事前調査です。

まず本年度は地蔵尊本躰の修復です。本躰を慎重に須弥壇から下して、丁寧に調査と写真撮影が行われました。

胎内からは320年前の修理銘札が!当時の住職、そして篤信の檀家さんの思いがヒシヒシと伝わってきました。


3月19日~4月26日

お地蔵さんを間近で・・・/弘済寺地蔵堂

 

 修理工房の三乗堂さん(栃木県鹿沼市)に搬出されるまでの期間、当のお地蔵さんは地蔵堂外陣に安置。普段はこんなに近くでお目にかかれないので住職の私も近くで拝ませていただきました。

 菩薩の特徴の耳朶環状(ピアス穴)、そして我々、衆生の声を漏らすことなく聞いてくれているの耳穴もしっかりあります、感動♡

 

 この時期にお寺に来られた方には、手が届く距離で見ることは滅多にない機会なので、お堂迄ご案内しました。


令和3年4月27日 13:00

搬出/弘済寺地蔵堂~

 

いよいよ三乗堂さんへ搬出の日となりました。とても丁寧に養生してもらい、いざ栃木へ向かいました。この日よりお地蔵さんロスの住職です、、、

 

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