肉身部(剝落があった首元)は膠(にかわ)で溶いた弁柄(べんがら)を塗ったあと、
金泥を塗りました。
両手はオリジナルが漆箔(しっぱく・・・漆で金箔を押すこと)(左手は一部金泥)と判断したので、修理箇所は弁柄漆(べんがらうるし)を塗った後、
漆(うるし)で箔押ししました。
最後に周囲に馴染ませるため、アクリル絵具による古色仕上げを行いました。
着衣部は周囲がとてもマットな漆(うるし・・・一部漆ではない顔料のような彩色か)だったので、胡粉(ごふん)下地の上に錆漆(さびうるし)を塗り、古色のベースを作った上にアクリル絵具による補彩を行いました。
古色前の胡粉下地の4面全体写真
古色後の正面、左側面、右側面、背面
宝珠、錫杖は呂色漆のベースに漆で箔押しをしました。この後、少し古色仕上げにします。
・宝珠と錫杖の仕上げ方について
手と宝珠・錫杖の違いがわかりやすように、金箔に少しだけ暗い色の液を塗り、金箔の質感を残したままの古色になります。
錫杖ですが、剝落が激しく金箔が残っていなかったのですが、上部(金属金物がついている先端)だけは金箔が残っていたので、残したままにしております。
そのため、オリジナルの金箔が所々残っております。残った金箔のような少し赤みのある色に古色仕上げします。