お地蔵さん修復記(その九)完成間近!


1.補彩(ほさい)・古色(こしょく)


【肉身部】

肉身部(剝落があった首元)は膠(にかわ)で溶いた弁柄(べんがら)を塗ったあと、

金泥を塗りました。



【両手】

両手はオリジナルが漆箔(しっぱく・・・漆で金箔を押すこと)(左手は一部金泥)と判断したので、修理箇所は弁柄漆(べんがらうるし)を塗った後、

漆(うるし)で箔押ししました。

最後に周囲に馴染ませるため、アクリル絵具による古色仕上げを行いました。



【着衣部】

着衣部は周囲がとてもマットな漆(うるし・・・一部漆ではない顔料のような彩色か)だったので、胡粉(ごふん)下地の上に錆漆(さびうるし)を塗り、古色のベースを作った上にアクリル絵具による補彩を行いました。


【全体】

古色前の胡粉下地の4面全体写真

古色後の正面、左側面、右側面、背面


2.持物の宝珠(ほうしゅ)・錫杖(しゃくじょう)の箔押し作業


宝珠、錫杖は呂色漆のベースに漆で箔押しをしました。この後、少し古色仕上げにします。

 

・宝珠と錫杖の仕上げ方について

  

手と宝珠・錫杖の違いがわかりやすように、金箔に少しだけ暗い色の液を塗り、金箔の質感を残したままの古色になります。

 

錫杖ですが、剝落が激しく金箔が残っていなかったのですが、上部(金属金物がついている先端)だけは金箔が残っていたので、残したままにしております。

そのため、オリジナルの金箔が所々残っております。残った金箔のような少し赤みのある色に古色仕上げします。